妊娠糖尿病とは
妊娠糖尿病は、妊娠中に一時的に高血糖(高血糖)状態が起こる状態を言います。 通常、妊娠中にホルモンの変化があり、インスリンの効果が低下するため、発病します。
妊娠糖尿病は、通常は妊娠後期に発症し、妊娠後の血糖値が通常の範囲を超えることによって診断され、この状態は、胎児の成長や出産時合併症のリスクを増加させる可能性が高くなります。
妊娠糖尿病の管理には、食事療法、適度な運動、必要に応じてインスリン注射などの治療法があります。
また、妊娠糖尿病の早期発見と正しい管理は、母親と胎児の健康を守るために重要です。
妊娠糖尿病の診断基準
血糖値
妊娠後24〜28週の間に行われる、8時間以上の絶食後の血糖値を測定します。 血糖値が92 mg/dL以上である場合、追加の検査が必要となります。
経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
異常な一時血糖値が出現した場合、またはリスクの高い妊婦の場合に実施されます。OGTTでは、絶食後に75gのブドウ糖を摂取し、摂取前〜摂取後2時間にわたり検査を行うことで診断されます。
以下のいずれかを満たした場合に妊娠糖尿病と診断されます。
- 空腹時血糖値≧92mg/dL
- 1時間値≧180mg/dL
- 2時間値≧153mg/dL
※妊娠中の明らかな糖尿病には、妊娠前に見逃されていた糖尿病と、妊娠中の糖代謝の変化の影響を受けた糖代謝異常、および妊娠中に発症した1型糖尿病が含まれる。いずれも分娩後は診断の再確認が必要となります。
妊娠糖尿病と胎児への影響
胎児の過大成長(巨大児)
母親の高血糖が胎児の血糖値を上昇させるため、胎児が過度に成長する可能性があります。
新生児低血糖
母親の高血糖により、胎児の体内で過剰なインスリンが産生される可能性があります。その結果、出てくる後に胎児は低血糖の状態に陥ることがあります。
呼吸障害
妊娠糖尿病を持つ母親の赤ちゃんは、後に呼吸困難や新生児呼吸窮迫症候群(NRDS)などの呼吸障害を考慮するリスクがあります。
先天異常のリスク
妊娠糖尿病が適切に管理されない場合、胎児の先天異常のリスクが増加する可能性があります。特に心臓や神経管にはリスクが考えられます。
これらは一部の可能な影響であり、全ての妊娠糖尿病の場合に発生するわけではありません。 ただし、妊娠糖尿病を適切に管理することは、これらのリスクを軽減するために重要です。
妊娠糖尿病は治る?
妊娠糖尿病は通常、妊娠後にあった値が正常に戻ることもあります。 ただし、妊娠糖尿病があれば、将来の糖尿病のリスクが増加する可能性があります。
妊娠病は、妊娠中に一時的に高血糖状態になることで糖尿病を発症します。 通常、出産後数週間から数ヶ月で血糖値は正常になり、妊娠糖尿病は「治る」と言えます。
ただし、妊娠糖尿病を経験した女性は、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高まる可能性があります。そのため、出産後は定期的な健康チェックや血糖値のモニタリングが重要です。生活習慣の改善や適切な食事、適度な運動などを行うことで、2型糖尿病の発症リスクを減らすことができます。
妊娠糖尿病になりやすい人
妊娠糖尿病になりやすい人には、以下のようなリスク要素が関与しています。
過体重または肥満
BMIが高い場合、妊娠糖尿病の発症リスクが心配されます。
家族歴
親や兄弟姉妹に糖尿病の人がいる場合、妊娠糖尿病のリスクが高まります。
高血圧
高血圧の既往がある場合、妊娠糖尿病の発症リスクが増加することがあります。
年齢
30歳以上の妊娠女性は、妊娠糖尿病の発症リスクが高くなります。
妊娠糖尿病の罹患歴
以前の妊娠で妊娠糖尿病を経験した場合、再発する可能性が高くなります。
これらはリスクの一部であり、妊娠糖尿病の発症には個人の生活状況や遺伝的な要素などが含まれます。 妊娠糖尿病は、妊娠中に適切な管理や予防策を検討することが重要です。