糖尿病の食事療法と運動療法
糖尿病における食事療法は、糖尿病治療の基本です。さらに、運動療法と組み合わせると、大きな治療効果を得られます。食事療法・運動療法と薬物療法が、糖尿病治療における3本柱とされています。このように、食事療法や運動療法を外しては、薬物療法での治療効果は得られません。
糖尿病の食事療法
糖尿病は、完治を目指すというよりは上手に付き合っていく病気です。このため、生活習慣となる食事療法は糖尿病治療の基本です。食事療法では、「食品交換表」を用いて行います。似たような栄養素を含んだ食品を6つのグループ分けにして、栄養バランスを分かりやすくします。一番大切なのは、食後に血糖値が急上昇しないことです。栄養バランスの取れた食事を1日3食決まった時間に摂り、よく噛んでゆっくりと食事をするのがポイントです。食事療法を丁寧に行うことで、体内で不足しているインスリンを上手に使うことができ、肥満を改善できます。
食品の分類 | 食品の種類 | |
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炭水化物(糖質)を多く含む食品 |
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炭水化物(果糖)を多く含む食品 |
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タンパク質を多く含む食品 |
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カルシウム・タンパク質を多く含む食品 |
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脂質を多く含む食品 |
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ミネラル・ビタミンを多く含む食品 |
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調味料 |
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当院の栄養指導
まず、患者様の1日の生活習慣を詳しくお伺いしていきます。食事や間食の時間や内容、起床時間、就寝時間、就労時間や仕事の内容、お休みの日の過ごし方などを丁寧に伺います。また、お薬を服用されている方は、薬剤の種類と服薬量などもお聞きしております。このように、患者様の日々の過ごし方を検証し、生活習慣の乱れなど問題点を明確にします。その上で、取り組めることから始めていきます。
円滑な治療のために…
栄養指導を行う際は、患者様の食事内容や時間、飲料の好みなどを正確にお伝えください。平日の仕事時間や休日のご自宅での過ごし方など、約1週間の記録や日記などがあるとより具体的な栄養相談が可能となります。その際は、手書きメモやスマホのカメラ機能などをご活用ください。
栄養指導のタイミング
栄養指導を受けるタイミングは、食事療法がうまく行かない時だけではなく、ライフステージに応じて生活習慣が大きく変わった時などが最適です。学生の場合は、進学や進級のほか、部活動をやめた時、社会人では転職や転勤などが、これまでの食事習慣や生活習慣を見直すタイミングとなります。また、ご高齢の方なども以前と食事習慣や食べ方に変化が見られた時も、栄養指導を受けることをお勧めしております。
糖尿病の運動療法
糖尿病における運動療法は、減量や基礎代謝アップ、血糖値低下作用、がん予防、認知症予防など、あらゆる方面で治療効果が期待できます。ただし、血糖値コントロール不良やインスリン療法中、または経口血糖降下薬服用の間は、細心の注意を払って運動療法を行ってください。血糖値コントロールが良好な方や、合併症の心配がない方は運動療法を行っても問題はありません。
運動療法は、軽いウォーキングや軽いジョギング・水泳などの有酸素運動と一緒に、レジスタンス運動などを組み合わせて行うとより良い効果が期待できます。日常生活で運動習慣が定着することが基本であるため、無理なく楽しく行うことがポイントです。運動療法によって、脂肪燃焼及び糖消費などができて肥満対策が可能となります。さらに、デスクワークなど同じ姿勢や座った姿勢のまま長時間過ごすことのないよう、ストレッチをするなど身体を動かす工夫が必要です。
なお、糖尿病の方は、低血糖を起こしにくい時間帯として、食後約1~2時間経過した頃に運動するのがベストです。